Monday, June 27, 2011

Tokyo City Hierarchy

トーキョーシティー ヒエラルキー
 名乗らないのが彼等のルール
    誰も過去を明かさない 今日に生きるのが彼等のルール
でも空が好き 
話す事が好き 
焼きたてのパンの匂いが好き
ビルの谷間に沈み行く夕日に
「独りじゃないさ」と
路上の天使はそっと囁き掛ける

トーキョーシティー ヒエラルキー
笑わないのが彼等のルール
何時ものオフィスにジョークがあるてしても
金を生む為の一つのツール
でも彼は娘が好き
我が娘の寝顔が好き
紅葉の様な掌が好き
家具の谷間に身を横たえて
「此れで良いのさ」と
戦う天使は天井に囁き掛ける

トーキョーシティー ヒエラルキー
自分を探すのが彼等のルール
けれど何一つ
見つかりやしない
それが世の中のいつものルール
でもあの娘が好き
たまらなく好き
か弱く美しい二の腕が好き
長い髪に顔を埋めて
「何とかなるさ」と
未熟な天使は彼女に囁き掛ける

トーキョーシティー ヒエラルキー
静かに生きるのが彼女のルール
帰りを待つ連れ合いは
もうこの世にはいない
決して期待に無いのが彼女のルール
でも散歩が好き
季節に咲く花が好き
日々の匂いに時めくのが好き
夕暮れ時に小さな灯りをともし
「もうすぐまた逢えるから」と
寂しげな天使はそっと囁き掛ける

トーキョーシティー ヒエラルキー
賭け続けるのが彼等のルール
道の一つは明日へと続き
もう一つは墓場へと墜ちてゆく
でもこの瞬間が好き
この興奮が好き
高鳴る心臓の鼓動が好き
ポケットの中で汗ばんだ手を握りしめ
「きっと今度こそは」と
不運な天使は空に囁き掛ける

トーキョーシティー ヒエラルキー
この街はムンクの手の中にある
誰かが叫び 何処かで渦巻き
とても愛おしく何故か美しい
そして醜い あまりに醜い
醜いけれど何故か美しい
今日も何処かで沢山の天使達が
夜のトーキョーに
そっと囁き掛けている

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